椅子を選ぶとき、デザインと同じくらい重要になるのが「寸法」です。どれだけ優れた椅子を用意しても、自分の体に合っていなければ快適に過ごすことはできません。
とは言え、いざ椅子の購入を考えると「寸法の目安が分からない…」と悩んでしまう方が多いです。この記事を読んでいただければ、あなたに合う椅子のサイズを把握することができます。
今回は、一般的な椅子の寸法をはじめ、適切な座面の高さを算出できる計算方法を紹介します。また、椅子とテーブルの高さバランスについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
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椅子の寸法を測る重要性
自分の体に合っていない寸法の椅子に座っていると、姿勢が悪くなることで腰痛や体調不良の原因になります。
そのため、椅子を購入するときは必ず寸法をチェックし、自分に適したサイズを選ぶ必要があるのです。最適なサイズの椅子であれば、体への負担がなくなり、より快適に過ごすことができます。
また、椅子とテーブルの高さバランスが合っているかどうかで、居心地の良さや食事のしやすさが大きく左右されます。実際にレストランなどで「居心地が悪い」「食事がしづらい」と感じたことはないでしょうか。
上記のような感覚は、椅子とテーブルの高さが合っていないことが要因である場合が多いです。ですので、快適性を損ねないためにも、寸法を確認してバランスを整えることが重要なのです。
椅子の寸法の基礎知識!サイズ表記の見方について
椅子を購入する際、カタログなどにあるサイズ表記を見ることで、おおよその大きさをイメージできます。
しかし、サイズ表記が「記号」になっている場合が多く、「どの部分の寸法なのか分からない」と悩んでしまう方もいるでしょう。
そこで、この章では椅子のサイズ表記の見方について解説します。以下の表では、各記号の呼び方や意味をまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
記号(呼び方) | 意味 | 計測部分 |
W(ワイド) | 幅 | 座面や背もたれなど1番広い部分 |
D(デプス) | 奥行き | 正面から見て前側から後側までの距離 |
H(ハイ) | 全体の高さ | 床から背もたれ先端までの距離 |
AH(アームハイ) | アームの高さ | 床から肘掛け上までの距離 |
SH(シートハイ) | 座面の高さ | 床から座面上までの距離 |
日本製の椅子の寸法と海外製とのサイズの違い
国内では様々な椅子が販売されていますが、日本製の多くは座面の高さが「42cm前後」で設計されています。
尚、42cmという高さは“日本人の平均身長”に合わせた寸法であるため、特に小柄な女性にとっては高く感じられるでしょう。また、幅や奥行きに関しては「45cm前後」の物が多く見られます。
多くの椅子は万人に合う寸法で作られていますが、体型には個人差があるので必ずフィットするとは限りません。ですので、上記の寸法は目安の1つに捉え、自分に合った椅子のサイズを見つけることが重要です。
尚、海外製の椅子は“他国人の体型”に合わせて作られているため、日本製の椅子よりも大きい傾向にあります。小柄な日本人の体型にはフィットしない可能性もあるので、必ず寸法は確認するようにしましょう。
あなたに合う座面の高さを算出するための計算方法
椅子に快適性を求める上で、座り心地と同じくらい重要なのが「座面の高さ」です。適切な高さでない場合、どうしても姿勢が悪くなってしまうため、快適性を損ねてしまいます。
尚、理想とされる座面の高さは、一般的に「身長×0.25-1」という計算式で求められることが多いです。(他にも「身長×0.25」や「膝の高さから1cm引く」という方法もあります。)
例えば、日本人の平均身長(男性171cm、女性158cm)で計算してみると、座面の高さの目安は以下のようになります。
性別・身長 | 計算式 | 座面の高さの目安 |
男性・171cm | 171×0.25×-1 | 41.75cm |
女性・158cm | 158×0.25×-1 | 38.5cm |
平均的な身長である場合、男性は「約42cm」、女性は「約39cm」が“一般的な理想の高さ”と言えます。
上記の方法で理想の高さを把握しておけば、サイズ選びで失敗するリスクが減りますし、より自分の体にフィットする椅子を選びやすくなります。
寸法はあくまで目安の1つ!椅子を選ぶときの注意点
椅子の寸法を確認することで、自分に適したサイズを選びやすくなります。ただ寸法だけを見て選んでしまうと、座ったときに違和感を覚える場合もあるので注意が必要です。
例えば、座面が布や革である場合、クッション材により深く沈むことがあります。そうなると、実際の寸法よりも高さが下がるので、当然座り心地も変わってきます。
また、背もたれの高さが同じでも、緩やかにカーブしている物や真っ直ぐに伸びている物などデザインは様々です。体に接触する部分の形が違えば、フィット感に影響することは容易に想像できるでしょう。
つまり、椅子を購入する際は寸法を1つの目安とし、素材やデザインも踏まえて選ぶことが重要なのです。ですので、もし現物を確認できるようでしたら、1度座ってみることをおすすめします。
通販など現物をチェックできない場合は、カタログの商品詳細を確認したり、お店の方に問い合わせたりして情報を得ると良いでしょう。
椅子のサイズ感は正しい姿勢でチェックしよう
実際に椅子に座ってサイズ感を確かめるときは、正しい姿勢でチェックすることが大切です。正しい姿勢で座らないと、自分の体に合ったサイズなのかどうかを判断できません。
以下の3つのポイントを意識すれば、適切なサイズであるかを確認でき、椅子の機能性も実感しやすくなります。
- 座面の奥まで深く腰を掛ける
- 骨盤上部を背もたれにつける
- 踵(かかと)を床につける
もし足の裏が地面につかなかったり、少し踵が浮いてしまったりする場合、適切な椅子の高さとは言えません。また、椅子の高さが低く、座面から膝先が離れている姿勢もNGです。
適切な高さのイメージとしては、足裏全体が床につき、膝先が座面と並行またはわずかに高くなるのが理想です。
自分の体型に合ったサイズでないと、体への負担が大きくなってしまうので、上記のポイントを押さえながらサイズ感をチェックしてみましょう。
椅子とテーブルの高さ関係は「差尺」がポイント
椅子を購入するにあたり、テーブルとの高さバランスが気になる方もいるでしょう。椅子とテーブルの高さバランスは「差尺(さじゃく)」を確認することで、大まかなサイズの目安が分かります。
尚、差尺とは“椅子の座面からテーブルの天板までの高さの差異”を指します。適正な差尺は「座高÷3-2cm」という計算式で求めることが可能です。
ちなみに、座高は「身長×0.55」で計算できます。例えば、身長が170cmある場合、座高は170×0.55=「93.5cm」です。
そして適正な差尺は93.5÷3-2cm=「約29.1cm」になります。一般的に差尺は「27cm〜30cm程度」が良いとされているので、椅子とテーブルを合わせる際の目安にしてみると良いでしょう。
テーブルの一般的な寸法と必要なスペースの目安
一般的にダイニングテーブルやデスクの高さは「70〜72cm」の物が多く見られます。椅子と同様に、上記の高さは“日本人の平均身長”に合わせた寸法なので、自分に適したサイズを選ぶようにしましょう。
また、1人で食事をするのに必要なスペースは「幅60cm×奥行き40cm」が目安の1つとされています。このサイズに使用人数を掛ければ、おおよそのテーブルの寸法を算出すること可能です。
ただ人により用途や体の大きさが異なるので、部屋のスペースに余裕がある方は大きめのサイズを選んでおくと安心でしょう。
椅子やテーブルの大きさは空間とのバランスも重要
椅子やテーブルを取り入れる際は、空間とのバランスも意識しておきましょう。そうすることで、よりすっきりとした空間を演出でき、部屋の快適性を高めることができます。
例えば、小さな部屋に大きな椅子やテーブルを置くと、とても窮屈に感じやすいです。その点、程良いサイズを選んで空間に余白を作れば、圧迫感がなくなるので快適に過ごせます。
特に意識しておきたいポイントは「動線」と「動作空間」を確保することです。動線は人の通り道、動作空間は人が動作するのに必要なスペース(椅子を引くスペースなど)を指します。
尚、人が通るのには「60cm」の横幅が、椅子を引いて立ち上がるのには「80cm」の奥行きが必要とされています。出来るだけ快適な部屋に仕上げるためにも、家具と空間のバランスを意識してみましょう。
まとめ:椅子の寸法で居心地の良さは大きく変わる
今回は、一般的な椅子の寸法をはじめ、テーブルとの高さバランスなどを紹介しました。椅子やテーブルを選ぶときに重要なのは、自分の体に合ったサイズの物を選ぶことです。
食事をするダイニングルームはもちろん、リビングルームや書斎スペースにおいても同じことが言えます。寸法を意識して椅子やテーブルを選べば、体への負担がなくなり、毎日をより快適に過ごせるでしょう。
ぜひ本記事で紹介した寸法や計算式も参考しながら、最適な椅子やテーブルを探してみてくださいね。