新しい椅子を探していて、素材が「本革」と聞くと、お手入れ方法が難しそうな印象があって、購入をためらう事もありますよね。
この記事では始めに、本革の仕上げ方法とその種類についてご紹介しています。この2点を知ることで、本革のお手入れ方法について、より理解しやすくなりますよ。
きっと、本革に対するイメージが変わって、「お手入れって意外と簡単なんだなぁ」と、気付けるはずですよ!
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本革の椅子は、お手入れ前に「仕上げの違い」について知ろう。
本革は仕上げの違いによって、いくつか種類があります。まず、本革に色を付ける材料の「顔料」と「染料」の違いについて知っておきましょう。
「顔料」はペンキのように使われるので、表面だけに色を付ける仕上げ方法です。身近なものだと、学生が履くローファーの素材は顔料仕上げの革から作られています。
「染料」は繊維に色を染み込ませて、革の内部まで染める仕上げ方法です。顔料と違って表面が塗装されないので、革本来の風合いが残ります。
本革の仕上げは3種類!それぞれ、椅子のお手入れ方法も異なる
「顔料」と「染料」の仕上げ方法で、本革の呼び名や、お手入れ方法も異なります。それぞれ1つずつご紹介しますね。
顔料仕上げ
顔料が使われた本革の場合、革表面が厚い塗装の膜で覆われています。このような革は「顔料仕上げ」と呼ばれます。
厚い塗装のおかげで、革の表面が守られて強度があるので、本革だからといって、普段から気をつけて使う必要はありません。
厚い塗装があるため、水拭きができます。ただし、必ず固くしぼった布で拭き上げてくださいね。あまり頻繁に行うと、革を傷めてしまいます。
染料仕上げ(アニリン仕上げ)
染料の場合、革全体を染め上げるため、自然な革のシワや模様が残ります。「染料仕上げ」または「アニリン仕上げ」と呼ばれます。
染料仕上げの革は表面が塗装されていない分、普段使いで傷がつきやすい革です。
とてもデリケートな革のため、必ず、アニリン革専用のケア用品を使う必要があります。
セミアニリン仕上げ
セミアニリン仕上げとは、「顔料仕上げ」と「染料仕上げ」とを組み合わせた仕上げ方法です。見た目は先ほどご紹介した、染料仕上げの革に似ています。
染料仕上げだと高級感が出る分、傷や水に弱い弱点がありますが、セミアニリン仕上げは透明な顔料を上から薄く塗装することで、本革の高級感を出しつつも、傷に強い革となります。
塗装が薄く耐水性が低いため、水拭きはできません。お手入れ方法は、デリケートな染料仕上げの革と同じ方法で対処しましょう。
新しい椅子を購入したら、まずは革のお手入れをしよう。
新しく本革の椅子を購入したら、椅子に座る前に、まずはお手入れをしましょう!購入後、すぐに表面を保護することで、本革への汚れを事前に防ぐことができますよ。
万が一、椅子の表面に汚れが付いても、その後のお手入れがラクになりますので、賢い椅子の使い方とも言えますね。
お手入れ前には必ず、目立たない箇所で一度試すのがポイントです。革に合わないものだと色落ちしたり、時間が経っても変色したままとなる場合があるので、気をつけましょう。
革張り椅子のお手入れは2種類。
お手入れ方法には2種類あります。この2つの方法を組み合わせてお手入れすることで、本革の椅子を長く使うことができますよ。
- 普段からのお手入れ
- 定期的なお手入れ
普段からのお手入れは、毎日本革の椅子を使うときに気をつけることや、椅子に座りながらでもできるような、気軽にできるお手入れ方法です。
定期的なお手入れは、革に付いている汚れを落としたり、保湿をしたりします。あらかじめ時間をとって、ゆっくりと楽しみながらお手入れするのがおすすめです。
普段からのお手入れで、本革の椅子を長持ちさせよう
普段からのお手入れは、とっても気軽にできるお手入れ方法です。これからご紹介する点について、日頃から気をつけるだけでも、本革の寿命を延ばすことができますよ。
乾拭きをする
綿100%の布で、表面を軽く拭き上げます。革の表面にホコリや汚れが付いていると、それらが水分を含んで、カビの原因になるんです。
タオルのような凹凸のある素材だと、本革が傷つく可能性があるので、着古した肌着のような素材が最適です。
乾燥を避ける
本革は乾燥に弱い素材です。エアコンの風が直接当たる場所は避けて、お部屋のレイアウトをしましょう。
また、直射日光が当たると乾燥だけでなく、本革が色落ちする原因にもなります。
定期的な革のお手入れ方法を見てみよう
定期的なお手入れ方法は、革の仕上げ方法により異なります。今回は、お手入れの大まかな流れについてご紹介します。
こちらの動画ではソファを使っていますが、椅子の場合も同じようにお手入れができますよ。
- まずは柔らかい布でから拭きし、ごみを落とします。縫い目のステッチ部分など、細かい場所は馬毛のブラシを使うこともできます。
- お手入れを始める前に、用意したケア用品を目立たない場所で試します。革のお手入れをするときは、相性を確認してから塗り始めるのが鉄則です。
- いよいよ、クリーナーで汚れを落とします。アニリン仕上げ・セミアニリン仕上げの革は、専用のクリーナーを使ってくださいね。
- 最後に、革を保湿します。クリーナーと保湿が1本でできるものもありますよ。
専用のレザークリーナーは、椅子を購入した店舗へ確認するのが一番です。
定期的なお手入れの頻度は?本革の椅子は、最低でも年2回行おう
定期的なお手入れは、どのくらいの頻度で行うといいのか、気になりますよね。
本革の椅子を扱っている店員さんによると、「季節ごとに年2回はお手入れしてほしい」というお話がありました。
ですが、一番いい頻度としては、年に4回の定期的なお手入れをすることだそうです。
なぜ4回なのかというと、1年は春夏秋冬4つの季節に分けられますよね。気温や湿度が変わる季節ごとにお手入れすることが、本革にとって最適なタイミングになるんですね!
本革の椅子で、やってはいけないお手入れ方法とは?
本革のお手入れ方法をネットで調べると、様々な方法がありますよね。安く簡単に済ませたいからといって試してしまうと、どれも本革にとって大きなダメージとなります。
やってはいけない本革のお手入れ方法を事前に確認して、間違った方法でお手入れしないように、気をつけましょう。
- 力を入れて、ゴシゴシとから拭きをする。
- 薄めた洗剤や牛乳を使って、革の表面を拭く。
- 革用の保湿クリームの代わりに、ハンドクリームを使う。
もしも、表面にひび割れができたら?
普段からお手入れを欠かさず行うことで、革の破損を防ぐことができます。
ただし、本革は天然な素材のため、いつかは表面にひび割れができるということも考えておかなければいけません。
ビニールレザーと呼ばれる合皮と違って、本革自体が高価な素材です。ひび割れは自分で対処しようとせずに、修理店へ依頼して補修することが一番良い選択です。
修理店に持ち込まれる椅子のなかには、自己流で補修したことが原因で、状態が悪化していることもあるそうです。もし本革の表面がひび割れてしまったときには、自分で対処しないよう、気をつけたいですね。
まとめ
やっと自分にぴったりの椅子が見つかっても、本革の椅子だとお手入れに困ってしまうことも多いと思います。
本革は、革の仕上げ方法によってお手入れ方法が異なります。まずは本革の加工の種類を理解して、手持ちの椅子がどんな仕上げをしているのか、一度確認してみましょう。
簡単な普段からのお手入れと、定期的なお手入れを組み合わせることで、本革の寿命をのばすことができます。
本革の椅子ならではの経年変化はもちろんですが、お手入れの時間も、ゆっくりと楽しんでいきたいですね。